速度表記だけでADSLプランを選ぶのは間違い!? 線路距離長と伝送損失が賢い選択のポイント!

2015/09/10

 自宅のインターネット接続に光回線利用が増えた今も、料金の安さなどからADSL接続プランを契約している方もいるだろう。また、引っ越しなどで新規の契約が必要となり、改めて接続回線プランを考えるケースもあるかと思う。

 そこで悩ましいのが、ADSLサービスの速度(接続)プラン。一昔前の8Mや24Mプランは姿を消しつつあり、多くのプロバイダーのADSLプランにあるように、8~50Mの範囲内で設定された速度パターンから選択というのが、現在の主流となっているようだ。

◆ADSLの速度を知るには距離と伝送損失に注目

 ここで誤解してはいけないのが、これらの速度はあくまで「理論上の回線最大速度」だということ。つまり、名称が50Mとなっているプランを選んだからといって、実際に50Mbpsの速度が出るわけではない。

 そのことを考えずに表記された速度だけでADSLのプランを選んでしまう人が、ずいぶんと多いようで、それが50MのADSLを使っているのに遅い……と感じてしまう原因だろうと思う。プラン名の速度表記が大きいものを単純に選択するというのは、すべての人が恩恵が受けられるわけではないことを知っておいてほしい。

 どうして、そうした現象が起きてしまうのかというと、ADSLの回線速度は、住んでいるエリアを管轄するNTT収容局から自宅までの距離と、それに伴う伝送損失(※距離が大きくなると速度が低下してしまうこと)に大きく左右されるからだ。もし、ADSLを利用する場所がNTT収容局から離れていたら、高速のADSLプランであっても、思っているほど速度が出にくいことになる。

 まずは、NTT東日本・西日本が提供する線路情報開示システムで「電話回線の線路情報」を調べてみよう。電話番号を入力すれば、「線路距離長」と「伝送損失」が表示されるはず。「線路距離長」は「NTT収容局までの電話回線の長さ」、「伝送損失」は「NTT収容局までの信号の劣化度合い」を示す。これらの数値が低いほど、実際に使用したときのADSLでの通信速度に期待が持てる。

◆実際にADSLの速度を測ってみる

 ADSLの12Mを契約している筆者宅の場合は、線路距離長「1720m」、伝送損失「26db」で、距離は平均的、伝送損失は良好な数値といえる。

 ADSLは外的要因による減速や干渉、ノイズなどの影響を受けやすく、周辺環境や電話線の太さなども合わせ、さまざまな要因で伝送損失が増してしまう。だからこそ、自分がADSLを使用する自宅などの立地条件の中で、ADSLの通信速度の最大値を知っておくことが大切だ。一般的には、伝送損失が30dbまでならADSLで快適なインターネットが楽しめるといわれている。

 筆者宅のADSLの回線速度をスピードテスト(回線速度を調べられるサイト)した測定結果は、下り速度「7.3Mbps」、上り速「1.0Mbps」となった。上り速度が遅めなのはADSLの宿命として諦めるしかないが(苦笑)、下り速度は「まぁ悪くない」数値だろう。ADSL・12Mの平均的な実効速度は約5Mbps強といわれているので、線路距離長と伝送損失を考えれば水準以上と言えるのではないだろうか。

◆ADSLは立地条件による性能差が重要

 筆者宅の実例を交えて説明してきたが、ADSLプランを選ぶうえで重要なのは、「NTT収容局までの距離」「実際のADSLの伝送速度」という2点だ。簡単に言ってしまえば、距離が近ければ失うスピードも減り、より高速なインターネット通信が楽しめることになる。

 速度を重視する場合、基本的には速度表記の数値が大きいADSLプランを選ぶことになると思うが、それも伝送損失が小さい場合に限る。もし伝送損失が大きいようであれば、速度プランを数値が小さいものにしても、それほど実測のスピードに差が出ないケースもあるのが、ADSLというもの。しかも、数値が小さいプランのほうが料金は低価格になるので、きちんと精査してプランを選択すれば、月額の通信費の節約にもつながる。

 ADSLはNTT収容局が近ければ50Mのようなプランのメリットが受けられるのだが、立地条件によるところが大きいのも現実。ADSLのプランを選ぶときは、そうした性質を知っておくことが、ストレスフリーな利用方法と言えるのだ。

※関連サイト
NTT東日本 線路情報開示システム
NTT西日本 線路情報開示システム

※記事は2015年9月現在の情報を基に作成。

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