東京や横浜で構想がスタートした“都市フォント”って何?

◆街の魅力をフォントデザインで具現化する試み
現在までに考案されている都市フォントは、東京、横浜、名古屋の3都市。2015年9月に発表された「東京シティフォント」は、ニュースなどで目にされた方もいるだろう。江戸と東京をつなぐ“粋(いき)”が書体のコンセプトで、すっきりとスマートな印象を与えるものだ。明朝体をベースに開発された横浜の都市フォント「濱明朝」は、おしゃれかつ歴史と伝統ある港町をイメージしたものだという。確かに目を引きやすいデザインで、2017年に予定されている実用化がスタートすれば、山下公園や馬車道、元町中華街などの観光地でインパクトを発揮するだろう。
名古屋城の鯱をイメージした名古屋「金シャチフォント」も、一目見れば忘れないほど個性的だ。こちらは名古屋開府400年(2010年)にあたり考案されたもので、「名古屋弁かるた」(東海テレビ製作)、「名古屋手羽先カレー」「名古屋うなぎカレー」(浜乙女社)など、商品パッケージにも採用されている。
◆都市ブランディングを高める海外の都市フォント
日本では構想がスタートしたばかりの都市フォントだが、都市ブランディングの重要性が高まる海外においては、案内表示からウェブサイト、ポスター、リーフレットなどまで、視覚的なコミュニケーションに訴えるオリジナル都市フォントが効果的に用いられているという。*イタリア・ローマ:形態と雰囲気が都市を象徴する、ローマン体で都市フォントをデザイン。
*イギリス・ブリストル:難解な市街地構造に横断的なデザインを採用することで、情報伝達能力を高めた。
*ドイツ・ベルリン:親しみやすいデザインが、都市アイデンティティ用ツールとしても活用されている。
*フランス・トゥールーズ:街を流れるガロンヌ川のイメージが象徴的。
*韓国・ソウル:都市の歴史や文化を、市民参加で「ソウル南山体」「ソウル漢江体」の都市フォントに形成。
ここでは代表的な例を挙げたが、都市の公式サイトに採用されていたり、自由にダウンロードできる都市もあるので、興味がある方は覗かれてみては?
2020年の東京オリンピック開催に向け、都市の国際化を推し進める日本でも、今後はこうした都市フォント構想が各地でスタートしていくことだろう。
※記事内容は2016年1月現在の情報を基に作成。