
ネット銀行ってどうして通帳がない? 通帳なしは不便か便利か
2016/03/16 銀行に口座を開くと、カードとともに必ず通帳が発行される。しかし、これはリアルな店舗がある銀行に限っての話で、ネット銀行・ネットバンクと呼ばれる銀行では、口座を開設しても通帳が発行されないことが一般的だ。
ネット銀行を利用したことがない人の中には、この“通帳がもらえない”ということに不安を感じ、なかなか利用に踏み切れないという意見も。
そうはいってもネット銀行は手数料や金利のよさなどに加え、店舗の行く時間が作りにくい人にとって時間を気にせず利用できるなど、ユーザー視点からのメリットが数多くあるのも事実。通帳がないという理由だけで利用しないのは、少しもったいない。
では、どうしてネット銀行には通帳が存在しないのだろうか? そして、通帳なしでどのように収支管理をしていけばいいのかを見ていきたい。
◆ネット銀行に通帳がない理由とは?
まずは、ネット銀行に通帳がない理由だが、もともと通帳は銀行側の管理や事務手続きの関係で発行されてきたのだが、インターネットが発達した今、銀行が取引データを保管するため、通帳を発行するための意味が薄れてきたというのが実態のようだ。
ネット銀行では取引状況を管理画面で確認し、確認できる内容は各ネット銀行ごとに決められた期間となっている。
また、利用しているネット銀行によっては、申し込めば取引明細書を郵送してもらえる場合もある(※手数料が必要なケースも)。
◆ネット銀行の種類によっては通帳が存在
ネット銀行に通帳がない理由を説明したが、すべてのネット銀行に通帳がないわけではない。通帳があるかどうかは、どのようなネット銀行であるかにもよる。
現在のネット銀行は大きく分けて、「都市銀行・地方銀行・ゆうちょ銀行が運営するもの」「銀行運営のインターネット取引専用の支店」「インターネット専業銀行(ネット銀行)」という3パターンがある。
簡単に説明すると、ひとつ目は、三菱東京UFJ銀行の「三菱東京UFJダイレクト」、みずほ銀行の「みずほダイレクト」、ゆうちょ銀行の「ゆうちょダイレクト」などで、申込さえすれば窓口やATMのほかに、PCやスマホによるネットでも取引が可能となり、実店舗との併用ということもあり、通帳も発行されるケースが大半だ。
インターネット取引専用の支店を運営しているのは地方銀行に多く見られ、スルガ銀行の「ダイレクトバンク支店」などがあり、インターネット専業銀行、いわゆるネット銀行にはジャパンネット銀行、ソニー銀行、楽天銀行、住信SBIネット銀行といったものがあり、基本的に実際の店舗がなく、取引はインターネットを通じて行うため、通帳が発行されないのが普通となっている。
◆通帳がないことのメリットも
前述もしたが、通帳がないことに不安を感じるという人も多いかもしれないが、実は通帳がなくても便利なこともあったりする。
最大のメリットともいえるのは、通帳記入の手間が省けるということではないだろうか。気にしていないという人もいるかもしれないが、多くの人は収支管理の一貫として通帳記入をしていると思う。でも、多忙なスケジュールの中、なかなか通帳記入のためだけにATMへ行くというのは大変なこと。そうこうしているうちに数カ月分ためてしまった……という経験もあるのでは?
その点、ネット銀行ではログインさえすればいつでもどこでも取引状況が確認できるのは、かなりありがたい。さらに通帳では、一定期間記帳しないとそれまでの取引がまとめて表示されてしまうが、ネット銀行ではそんな事態は発生しない。また、使い終わった通帳の保管場所に困るといったようなこともなくなるのも利点のひとつに挙げられる。
ただし、ネット銀行によっては定められた期間を過ぎたものは確認ができなくなってしまうので、管理の点からも銀行取引の記録はファイルのダウンロードやプリントアウトするなどして保存しておくことをオススメする。
通帳がないということが初めてネット銀行を利用する人の気になるところではあると思うが、裏を返せば意外にもメリットのほうが大きいことにも気付かされる。セキュリティが気になるという人でも、ネット銀行は本人確認用のIDやパスワードがなければ利用できないし、過失さえなければ不正引き出しなどは全額補償されるという取り決めをされているので、よどほのことがない限りは安心といえるだろう。
それでも通帳なしが不安……という人は、まずは都市銀行などATMや窓口も使え、あなたがメインバンクとして使っている銀行のネットバンキングから始めてみてはどうだろうか。
※記事内容は2016年3月現在の情報を基に作成。