Windowsのシステムドライブが「A:」ではなく「C:」な理由

2017/01/12

Windowsマシンのシステムドライブは、なぜ「C:」なのか。「A:」や「B:」が使われないことには理由が? Macユーザーや若いWindowsユーザーには素朴な疑問であろう「Cドライブ」について、改めて歴史を紐解いてみよう。

◆Windows PCの源となるPC/AT互換機にはフロッピーディスクが必須だった

いきなりだが、話は1980年代にまで遡る。現在のWindowsマシンの源流、PC/AT互換機の元祖ともいえるIBM PCが発表された、1981年だ。

この初代IBM PCで確立されたアーキテクチャー(※コンピュータやOS、システム全体の設計思想や基本構造のこと)が、現代のWindows PCの根幹をなしていることは、皆さんもなんとなくご存知だろう。

「IBM PC」などで検索して画像を見ればわかると思うが、当時のPC/AT互換機には、2つのディスクドライブが装備されていた。といってもハードディスクではなく、フロッピーディスクドライブだ。若い読者には「フロッピーディスクなんて見たことがない」という方も多そうだが、名称には聞き覚えがあるのでは?

当時のPC/AT互換機を動かすためには、2つのドライブが必要だった。

(1)OS(今のWindows。当時はIBM-DOSあるいはMS-DOS)のフロッピーディスクをドライブに入れ、起動する
(2)ソフト(アプリケーション)用フロッピーディスクを別のドライブに入れ、DOSプロンプトから起動コマンドを打ち込んで立ち上げる

今から思えば、まるで“儀式”とでも呼びたくなるような面倒さだ(笑)。

ちなみに、ソフトはフロッピーディスク1枚につき1つ。異なるソフトを使うにはフロッピーディスクの入れ替えが必要で、マルチタスク環境など夢のまた夢だった。

では、フロッピーディスクを差し込むドライブは、何ドライブだったのか。

◆ドライブ「A:」「B:」は主役のフロッピーディスクが担い、ハードディスク用の「C:」は脇役!?

答は「A:」と「B:」。

OS用がAドライブ。ソフトやデータ保存用のフロッピーディスクはBドライブで、メインドライブが「A:」、サブドライブが「B:」という、至極当たり前の名称だった。

一般に普及した初のWindows OSである「Windows3.1」(1993年発売)も、フロッピーディスクで供給されていた。その枚数は、なんと14枚! 続くWindows95(1995年発売)に至っては、21枚!! ガッチャン、ガッチャン……としか動かないフロッピーディスクでのインストールは、半日がかりの作業だった。

同じ頃、導入され始めたハードディスクドライブ(HDD)も、当時は容量がわずか“10MB(※1GB=1,024MB)”で数万円と高嶺の花。役割もフロッピーディスクの補完装置なので、ドライブ名が「A:」「B:」に続く「C:」となったのは自然な流れだろう。

CD-ROMからのインストールや、ハードディスクの利用が当たり前になったのは、1998年発売の「Windows98」から。ようやくフロッピーディスクと決別できたわけだが、同時にシステムドライブが、「A:」や「B:」が使われなくなった今でも「C:」という矛盾に直面することにもなったというわけ。

やがてフロッピーディスクは急速に衰退し、いつしか「A:」や「B:」ドライブは日陰者のような存在になってしまった……。

少し前には、パソコンメーカーの公式アカウントが「マイコンピュータにAとBドライブがない理由を知っていますか?」とツイートし、話題ともなった。今や幻と化した「A:」「B:」ドライブに、再び陽の目が当たることはあるのだろうか……。

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