緊急時に役立つ「メディカルID」登録するメリットとデメリットを考える

2017/01/12
iOS8以降のiPhone、iPod touchで標準の「ヘルスケア」アプリ内にある「メディカルID」を作成しておくと、緊急搬送時、意識がなくても持病やアレルギー反応、緊急連絡先などを医療従事者に知らせられる。一方、個人情報という観点では若干のリスクも。

◆メディカルIDのメリットとデメリット

メディカルIDに登録した個人情報や医療メモは、iPhoneがロック状態にあっても誰でもチェックすることができる。たとえ不慮の事故や災害で意識不明状態に陥ったとしても、警察や医療従事者などによる身元確認に役立つし、緊急連絡先の登録があれば、しかるべき相手に連絡がいくため家族や会社の人にも自分の状況が伝わりやすくなる。

病歴や服用中の薬、アレルギーなどの情報を入力する枠もあるので、治療の現場でも迅速かつ的確な対応をしてもらえる可能性が高まりスムーズにことが進むはずなので、万が一に備えてメディカルIDに必要事項を入力しておくのがオススメだ。

緊急時に役立つのは事実な一方で、メディカルIDは“危険”もはらんでいる。

ロック画面から、Touch IDやパスコードの入力なしに呼び出せるということは、持ち主が目を離した隙に第三者が個人情報を盗むことも、残念ながら可能となってしまう。

たとえば、iPhone所有者が緊急連絡先を妹に設定していたとうる。所有者がトイレに行っている隙に“誰か”がメディカルIDをチェックし、緊急連絡先に設定していた電話番号を手に入れたとしたら?

緊急連絡先に登録する相手の番号は、仮に情報が流出してしまった場合、直接被害を受けやすいので、十分に注意が必要。登録する相手にはしっかりと説明し、確実に許可を得ておきたいところだ。

◆まずはオフモードでメディカルIDを作成

メリット&デメリットの両面を確認したところで、メディカルIDの設定方法を見ていこう。

ヘルスケアアプリを起動しメディカルIDを編集する際、第三者による緊急時のアクセスを可能にするかどうかを、オン/オフのラベルで選べるようになっている。最上部の「ロック中に表示」をオンにしておくと、Touch IDやパスコードの入力画面にある「緊急」をタップすることで、誰でも簡単に情報を呼び出すことができる。

中途半端な状態で医療従事者に見られ、誤解が生じるとマズいので、まずはオフの状態で下記の項目を入力していこう。

・生年月日
・血液型
・身長/体重
・病気/けがについて
・医療メモ
・アレルギーと反応
・使用中の薬
・臓器提供の意思
・緊急連絡先(複数登録可)


厚生労働省が認可したシステムではないため、病院がメディカルIDに登録した情報を鵜呑みにすることはないが、既往症や現病歴、アレルギーなどの情報は処置を行う上での参考になるはずだ。「医療メモ」欄に通院している病院名を書いておけば、搬送先を決める際に役立つかもしれない。

もちろん、すべての欄を埋める必要はないので、医師に知らせておきたいことだけをわかりやすく入力しておけばOKだ。

メディカルIDが完成したら、あとは「ロック中に表示」をオンにするだけ。

◆プライバシーを守るためにも設定上の工夫を

どんなに大切なiPhoneでも、うっかりどこかに置き忘れたり、一瞬目を離した隙に第三者に見られてしまう可能性はゼロとは言えない。そのためにも、設定上の工夫が必要だ。

メディカルIDは電子カルテではないので、他人に知られたくないことを事細かに書く必要はない。まして健康な人ならば、ドッグタグレベルでも十分だ。持病やアレルギーを抱えていて不安がある人は、主治医に相談し、情報を整理してから入力するといいだろう。

気になる緊急連絡先だが、メディカルIDを作成する際は、iPhoneに登録してある連絡先から選ぶ仕組みになっているため、任意の名前を入力することはできない。妻や彼女、姉や妹を緊急連絡先にする場合は、連絡先の登録名をフルネームではなく性別不詳のニックネームに変更しておくのも一手だ。

個人情報が漏れてしまうことに抵抗がある人もいるかもしれない。だが、「ロック中に表示」させるかさせないかの切り替えはいつでもできる。まずはメディカルIDを完成させ、万が一に備えよう。

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