
スマートフォンの「デュアルSIMスロット」って本当に便利なの?
2017/05/19最近のスマホで目にする機会が増えてきた「デュアルSIM」。SIMカードスロットが2つあると「何に使えるのか?」「メリット&デメリットは?」など、今さら聞けない疑問を解消していこう。
◆MVNOと親和性の高いデュアルSIM端末が、ようやく日本市場でも普及段階に
「デュアルSIM」とは文字通り、「SIMカードスロットが2つある」端末(スマホ)のこと。海外市場では、以前からデュアルSIM端末が主流だった。
というのも、通信インフラ整備で2Gから3Gへの移行段階にある国が多い中、両方の帯域を使える端末が不可欠だったからだ。
一方、日本では早い時期に3Gへの移行が進み、端末規格の切り替えという形で通信インフラを整備してきた。たとえばNTTドコモなら、MOVAからFOMAへの変更がそれに当たる。
また、回線契約と端末のセット購入が一般的だった日本市場(=大手キャリア)では、端末のSIMカードスロットは1台1つが原則。「端末にSIMカードを2枚挿す」という、概念自体が存在しなかったわけだ。
が、NifMoなどMVNOサービスの普及により、通信会社を切り替えた方が料金が安くなる可能性もあることから、同じ端末で2つのSIMを利用したいというニーズが急増。格安スマホでは、今や携帯端末選択において「デュアルSIM」がキーワードにもなりつつある。
大手キャリアとMVNO、MVNOとMVNOなど、好みや利用法に応じて複数の通信契約を端末1台にまとめられるデュアルSIMは、まさにSIMフリー化の申し子とも言えるだろう。
大手キャリアの端末はいまだに「1端末1SIM」が大原則なので、正規にデュアルSIM端末を購入できる、MVNOサービスに大きなアドバンテージがある。
◆「シングルスタンバイ」と「デュアルスタンバイ」? 同じデュアルSIMでも大きな違いあり
デュアルSIM端末には、「シングルスタンバイ」「デュアルスタンバイ」「デュアルアクティブ」といった違いもある。その方式と、メリット&デメリットをまとめてみよう。
*シングルスタンバイ=DSSS(デュアルシム・シングルスタンバイ)
日本市場に数多く流通する、2枚のSIMを(手動で)切り替えて使うタイプ。排他仕様なので同時使用はできず、切り替えの手間も面倒。
●主な特徴
・大手キャリアとMVNOなど、音声通話もデータ通信も同時利用は一切できない。選んでいないSIM(契約)は圏外に。
・片方の音声通話を「050plus」(NTTコミュニケーションズ)などのIP電話サービスに転送すれば、同時待ち受けも可能に。が、デュアルSIMである意味は半減?
*デュアルスタンバイ=DSDS(デュアルシム・デュアルスタンバイ)
2枚のSIMで同時待受ができ、対応機種も増加中。ただし、同時通信は不可。音声もデータ通信も、利用中は排他仕様になる。
●主な特徴
・音声通話の最中は、別のSIM(契約)への電話が圏外になる。
・AのSIMで音声通話、BのSIMでデータ通信といった同時利用もできない。
・上位機種となるため端末価格が割高に。
・同時待受をするとバッテリーの消耗が激しい。
*デュアルアクティブ=DSDA(デュアルシム・デュアルアクティブ)
2つのSIMスロットが排他仕様ではなく、2枚のSIMを完全に同時使用できる。
●主な特徴
・対応機種がほとんどなく、現状では入手困難。将来的には主流に?
◆2枚のSIMを使い分けて月額料金を抑えることも可能!
シングルスタンバイもデュアルスタンバイも、状況ごとにSIMを使い分ける必要がある点では変わらない。
とはいえ、通話用&データ通信用、ビジネス用&プライベート用といった使い分けを1台の端末でできるメリットは大きい。一時もてはやされた“複数台持ち”の概念も、遠くないうちに過去の遺物と化していくだろう。
同時に、「特徴が異なるSIMを、状況に応じて最適な利用法で使い分ける」センスも磨いていきたい。
たとえば、今でこそMVNOにも定額通話プランがあるが、通話は大手キャリアでデータ通信はMVNOという使い方や、MVNOで可能な限り安く大量のデータ通信を行いたい人は、大容量プラン×2で契約した方が安くなるケースもあったりする。
MVNO各社からはさまざまな通話・通信プランが登場しているので、ニーズに対応した使い分けさえできれば、期待以上にお得な通信ライフが実現できそうだ。
※記事内容は2017年5月現在の情報を基に作成。