キャッシュカードが不要な「スマホATM」は本当に便利なのか

2017/05/11

「セブン銀行」と「じぶん銀行」が2017年3月から開始した、スマートフォンだけでATMが利用できる「スマホATM取引サービス」。キャッシュカードが不要なサービスは本当に便利なのか、ユーザー目線で考えてみた。

◆簡単&スムーズなイメージにはあと一歩!?「スマホATM取引サービス」

何から何まで、スマートフォンでOKに? そんな声も聞こえてきそうな「スマホATM取引サービス」が、セブン銀行とじぶん銀行でスタートした。

全国展開するスマートフォンでのATM入出金サービスは、日本で初とのこと。じぶん銀行の口座さえあれば、24時間365日、国内に23,000台あるすべてのセブン銀行ATMで利用可能だ。

キャッシュカードが不要なシステムは、スマートフォンとQRコードを組み合わせて使う。

(1)「じぶん銀行取引アプリ」で入金or出金を選び、金額を設定
(2)アプリからカメラが自動起動するので、セブン銀行ATMで「スマートフォン出金・入金」のボタンを押して表示されるQRコードを読み取る
(3)アプリ画面に表示される企業コード(4桁)を、ATMのテンキーで入力
(4)出金の場合はATMのテンキーで暗証番号を入力、入金の場合はATMに紙幣を投入
(5)金額を確認し、ATM画面の「確認」ボタンを押す


簡単に手順を解説すると、上記のようになる。確かにキャッシュカードは不要で、スマホさえ持っていればお金を引き出すことができるのは、なかなか便利だ。特に財布を持って出るのを忘れてしまったときなど、活躍してくれそう。

しかしキャッシュカードを挿入し、暗証番号を入力するだけですむ従来の手順と比べ、QRコードの読み取り企業コードの入力という2ステップがあることから、少なからずちょっと手間だなと感じる人もいるかもしれない。

実際に体験した利用者の多くからも、「かえって面倒」「メリットが感じられない」という声もチラホラ聞こえてくる。

ワンタイムパスワードの発行など、二段階認証を強要される初期設定も煩雑さを伴うなど、「スマホだけで簡単&スムーズ」というイメージには、まだまだ遠く、操作面ではもう少し期待したいところ。まあ、セキュリティを考えると致し方ないのだろうが……。

◆「スマホATM取引サービス」は、利便性よりもセキュリティ面でメリットが

メリットとしては、キャッシュカードを持ち歩かずにすむことが挙げられる。カードの紛失~悪用の危険性が薄れる分、安心感は増すだろう。

もちろんスマホの紛失や盗難という不安はつきまとうが、この「スマホATM取引サービス」では、計4段階の認証が行われる。

・スマホ起動時の暗証番号や生体認証
・アプリへのログイン認証
・口座の暗証番号
・不正な出金かどうかをアプリの出金予約で確認


ひとつの暗証番号だけですべての確認を行うキャッシュカードより、むしろ高セキュリティといえそうだ。

生体認証機能を持つATMが増えてきたとはいえ、ATM自体の交換や改修が必要なため、完備にはコストもかかる。いまだ旧態然としたキャッシュカード・システムが第一線で利用されている現状には、こうしたコスト面の問題も大きいという。

その点、スマホ利用ならハードウェア的な改修は不要。ソフトウェアの実装だけですむため、地方まで含めた全国展開も容易になる。

ちなみに、ATMとスマホ間でやり取りされるQRコードは、場所や時間情報などを含むワンタイム(使い捨て)パスワードになっている。QRコードから表示される企業コードを入力することで、銀行側サーバーとの情報照合も行う。

なかなか賢い仕組みなので、「セキュリティ重視の新システム」という側面も見えてくるだろう。

つまり、「スマホ利用で便利に」というより、「スマホ利用でセキュリティを高める」わけだ。これならメリットもわかりやすく、使ってみたいという気になるのでは?

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