
モバイルバッテリーに新たに表示が義務づけられた「PSEマーク」とは?
2019/03/30出典:経済産業省
旅行や長時間の外出で重宝するのがモバイルバッテリーですが、2019年2月1日より電気用品安全法(PSE法)の規制対象になり、値上がり必至との噂も。今回は、モバイルバッテリーに新たに表示が義務づけられたPSEマークについて解説していきます。
◆PSEマークってなに?
PSEマークとは、電気用品安全法に基づき、国が定める安全基準に適合した電気製品に表示されるマークのこと。このマークがない電気製品は、製造・輸入および販売をすることができません。
PSEマークにはひし形のタイプと丸形のタイプの2種類あります。
ひし形のPSEマークが必要なのは、自動販売機や直流電源装置、電熱式・電動式おもちゃ、電気マッサージ器など、高い安全性が求められる「特定電気用品」。現在、116品目が電気用品安全法で指定されています。
上記に該当しない「特定電気用品以外の電気用品」には丸形のPSEマークの表示が義務づけられています。
◆モバイルバッテリーが規制対象になった理由
問題は、モバイルバッテリーに組み込まれたリチウムイオンバッテリーにあります。
ノートパソコンやスマホを含むモバイル三製品のリチウムイオンバッテリーによる事故発生状況をまとめた独立行政法人「製品評価技術基盤機構(NITE)」のレポートによると、2012年度には19件だった事故件数は、2016年度には108件に増加。2012年度から2016年度の5年間で、実に274件もの事故が発生しています。
火災などに発展するケースも多く、なかには一般ごみとして捨てられたモバイルバッテリーがごみ清掃車内で発火する事例も!
このように、リチウムイオンバッテリーの事故が増加傾向にあることから、経済産業省では2018年2月1日付けで「電気用品の範囲等の解釈について(通達)」を改正。ポータブルリチウムイオンバッテリー(いわゆるモバイルバッテリー)を電気安全法の規制対象としました。
事業者の準備期間として1年の経過措置期間が設けられていましたが、2019年2月1日よりPSEマークの表示が義務化。このマークのないモバイルバッテリーは一切販売できなくなりました。
◆古いモバイルバッテリーはどうしたらいい?
では、2019年2月1日以前に購入したPSEマークのないモバイルバッテリーはどうしたらいいのでしょうか。
PSEマークがある製品に買い替えるのが一番ですが、まだ使えるものを手放すのは勇気のいることです。誰かに譲ろうにも、フリマやオークションサイトではすでに規制がかかっているため、中古品として売買することはできません。
過充電や過温度、過電圧、過放電などに対する保護機能が備わったモデルや、EU加盟国の基準を満たした製品につけられる「CE」マークがついたモバイルバッテリーならば、正しい使用法の範囲内で使い続けても問題なさそうです。
とはいえ、格安で購入したモバイルバッテリーの中には粗悪品が紛れている可能性も。なかでもきちんとした取扱説明書がないような製品はできるだけ早めに使用を中止し、PSEマークつきのものに買い替えた方が無難かもしれません。
万が一使い続ける場合は、過充電を避ける、熱を持たせない、衝撃を避けるといった安全対策を怠らないようにしてください。
なお、不要になったモバイルバッテリーは、リサイクル協力店に持ち込むのが基本。JBRC会員メーカーの製品に関しては、家電販売店やホームセンターなどのJBRCリサイクル協力店へ持ち込めばOKです。
JBRCに加盟していないメーカーの製品については、製造元や販売会社が回収を行っているケースがあるので問い合わせてみてください。