
見方や使い方は?まだまだ認知率の低い「ハザードマップ」が防災に重要と言われる理由
2020/03/06 掛岡 誕各地で多発する豪雨などの災害には、日ごろからの備えが重要です。
ポイントとなる対策の一つが「ハザードマップ」ですが、実はまだまだ認知度が低いようです。この「ハザードマップ」が重要な理由や見方や使い方などについて、改めて整理しましょう。
災害が起きる前に知っておきたい災害時の情報収集についてはこちらの記事もチェックしてみてください。
◆これがなければ始まらない!? 防災の基本は「ハザードマップ」から
そもそもハザードマップとは、国土地理院によると、
『自然災害による被害の軽減や防災対策に使用する目的で、被災想定区域や避難場所・避難経路などの防災関係施設の位置などを表示した地図』
と定義されています。2011年の東日本大震災を機にクローズアップされたことは、ご存じの方も多いでしょう。
防災マップ、被害予測図、被害想定図、アボイド(回避)マップ、リスクマップなどとも呼ばれ、地域(土地)の成り立ちや地形・地盤の特徴、過去の災害履歴などを基に作成された、その地域ならではの災害予測が記されています。
避難場所や避難経路など、いざというときに役立つ、防災情報も記載されているため、ハザードマップこそ“防災の基本”と考えても構わないでしょう。
◆難しくない&役に立つ「ハザードマップ」の見方や使い方
ところで、「ハザードマップはどこで見られるの?」と思われた方は、地元自治体の公式サイトを確認してみてください。なにかしら防災情報へのリンクが貼られているはずです。
ただ、自治体サイトは情報量が多くて見つけにくかったり、住まいの場所と実家や勤務先など、複数の場所でハザードマップが必要だったり、という方も少なくないでしょう。
そこで役立つのが、国土地理院が運営する「ハザードマップポータルサイト」。日本全国各地のハザードマップが集約され一元的に参照できるため、とても便利なサイトです。
同サイトは「重ねるハザードマップ」「わが町ハザードマップ」の二本立てになっています。
・重ねるハザードマップ
洪水・土砂災害・津波のリスク情報、道路防災情報、土地の特徴・成り立ちなどを、知りたい地域の地図や写真に重ねて表示できます。
検索窓に住所などを入力すると該当地域の白地図が表示。「洪水」「土砂災害」「津波」「道路防災情報」の4要素から表示させる情報を選ぶと、白地図が防災マップに早変わりします。
例えば「洪水」なら「洪水浸水想定区域」「ため池決壊」、「土砂災害」なら「崖崩れや地滑り」「急傾斜地の崩壊」「土石流」、「道路防災情報」なら「道路冠水想定箇所」「通行規制区間」など、細かい情報ごとに地図を重ね合わせてみましょう。
各情報では指定緊急避難場所も表示されるため、気づけば自分なりのハザードマップが完成しているはず。
作ったマップは、印刷、JPGなどの画像データ、htmlファイル、リンク埋め込みなど、さまざまな方法で保存できるのも便利ですね。
・わが町ハザードマップ
各市町村が作成したハザードマップへのリンク。地域(自治体)ごとに、「洪水」「内水」「ため池」「高潮」「津波」「土砂災害」「火山」をはじめ、地震による「液状化」「建物被害」「火災被害」など、細かな災害予測を閲覧できます。
危機管理室など各自治体の担当部署(住所・電話番号)も確認できるので、一緒にチェックしておくといいでしょう。
自治体ごとに差はありますが、重ねるハザードマップに比べ、カラフルな色分けや文字の大きさなど、見やすさを考慮したマップになっていることも特徴の一つ。PDFファイルがダウンロードできるはずなので、こちらも保存しておくことをお勧めします。
◆「ハザードマップ」はモバイルでも持ち歩きをおススメ!
防災の備えに役立つハザードマップですが、調査機関「NTTドコモ/モバイル社会研究所」が発表した防災レポート(2020年1月23日発表)によると認知率は3割ほど、紙で保有している人は16%、スマホなどにダウンロードしている人は2%に過ぎないという結果が出ています。
年齢別に見ると、認知率は10・20代が20%台前半なのに対し、70代では40%に。紙での保存率は、10・20代が10%未満なのに比べ、60・70代は20%を超えるという調査結果も。年齢が上がるほど、認知率や紙での保存割合が増加するようです。
実際の災害時を想定すると、ハザードマップはデータと紙の両方で保有・保存しておくことがベスト。紙やパソコンへの保存だけでなく、スマホなど“モバイルでの持ち歩き”も災害への備えとして重要なポイントと言えるでしょう。
備えあれば憂いなし。皆さんも「ハザードマップ」に目を向けられてはいかがですか?