
ダークパターンとは?7種類の具体例と対策を解説
2024/06/10ユーザーが知らぬ間に不利な行動をとってしまうダークパターンはご存知ですか?ダークパターンとは、ECサイトやアプリなどのUIで、行動を強制、制限したり、不要な商品の購入を促したりする仕掛けです。日本では違法ではないものの、ユーザーにとって不利な選択を迫る行為のため、近年悪質な手法として指摘されています。
今回はダークパターンの仕組みや事例について具体的に解説します。ダークパターンにだまされないように、一つずつ手法を確認しておきましょう。
なりすまし・フィッシング対策をしたい方はこちら
ダークパターンで不利な行動をとってしまう?
ダークパターンはWebサイトやアプリなどで、ユーザーを誤解させるようなUI(ユーザーインターフェイス)です。近年、ダークパターンを用いたWebサービスが急増していて、知らぬ間に不利な行動をしているユーザーも。
ここではダークパターンの仕組みと目的について解説します。
ダークパターンの仕組み
ダークパターン(Dark pattern)とは、ユーザーが無意識に不利な行動をとってしまうデザインを指します。ECサイトなどに多い手法で、初回無料と認識して単体購入した商品が定期購入になっていたなど、近頃問題になっています。
商品を閲覧したいだけなのに会員登録が必要だったり、サブスクリプションを解除したいのに、電話しないといけなかったりするのもダークパターンの手法です。ダークパターンは、ユーザーをあざむいて金銭や個人情報を取得しますが、不利な行動と気づかずに操作してしまうケースがあります。
ダークパターンはUXデザイナーであるハリー・ブリグナル氏が開設したWebサイト「DARK PATTERNS(現:Deceptive Patterns)」がきっかけで広く認知されました。
ダークパターンの目的
ダークパターンは、消費者からより多く金銭を支出させたり、情報を引き出させたりするのが目的です。また、意図せず時間を消費させるダークパターンもあり、引っかかってしまうとユーザーは大きな損失を抱えてしまう可能性があります。
商品の購入だけでなく、煩雑な操作や希少性、中毒性の高いサービスとして長く利用させるのもダークパターンの目的です。日本の消費者庁もダークパターンによる被害について注意喚起を促しています。
ダークパターン7種類の具体例
UIで不利な行動をしてしまうダークパターンには、7つの種類があります。いままでダークパターンを知らなかった方も、もしかしたらすでに被害に遭っているかもしれません。
ここでダークパターンの具体例を7つ解説します。
1. こっそり(Sneaking)
定期購入やサブスクリプション契約であることを隠し、初回無料や30日間無料など、ユーザーの意思決定を偽るダークパターンです。また、ユーザーが操作していないにもかかわらず別の商品を入れ込むのもダークパターンの手法です。
こっそりのダークパターンには、下記の事例があります。
・商品をカートに入れたら試供品として別の定期購入商品が入っている
・トライアル期間終了後に自動でサブスクリプション契約に移行される
・決済画面まで金額を提示しない
2. 緊急性(Urgency)
「限定割引終了まであと5分!」など、ECサイトやアプリ内でカウントダウンタイマーを使ってユーザーの購入を煽るのもダークパターンの手法です。
突然SALEと画面に表示されカウントダウンが始まるので、ユーザーは購入するなら早くしなければと正常な判断ができなくなります。実際にセールが終わってしまう場合は有力な情報ですが、偽のセール情報はユーザーを騙していることにほかなりません。
緊急性のダークパターンには下記のような事例があります。
・期間を記載せずにSALE期限や取引可能期限を表示する
・カウントダウンタイマーを使って、プレッシャーをかける
・在庫僅少など、あたかも大人気であると偽る
3. 執拗な繰り返し(Nagging)
位置情報の取得や通知の強制など、企業にとって都合のよい行動を要請するダークパターンです。アプリに多いダークパターンで、ポップアップが繰り返し表示されるため、ユーザーは面倒になって許可してしまうケースがあります。
許可するまでポップアップが表示されるだけでなく、拒否する選択肢が用意されていないのも執拗な繰り返しの特徴です。
執拗な繰り返しには下記のような事例があります。
・会員登録するまで繰り返し登録画面が表示される
・通知や位置情報の取得を許可するまでポップアップが表示される
4. 社会的証明(Social Proof)
ユーザーレビューを多く見せかけたり、お気に入りに登録している人数を表示したり、人気があるように見せかけるのもダークパターンの一種です。Amazonでよく見かけるダークパターンであり、出自が不明なユーザーレビューはユーザーの意思決定に影響を与えます。
社会的証明のダークパターンには、下記のような事例があります。
・本日◯人が購入しました!など、あたかも人気商品であるように見せかける
・ユーザーが誤認・購入意思を鈍らせるような偽のユーザーレビューを掲載する
5. インターフェース干渉(Interface Interference)
特定の商品が優れていると視覚的に訴えかけ、希少性があるように見せるダークパターンです。ユーザーはほかの商品よりも便利、安いと感じ、買うつもりがないのに購入してしまうリスクがあります。
下記の事例はインターフェース干渉のダークパターン手法です。
・特定の商品、またはすべての商品に「在庫僅少」と表示する
・実際は割引されていないにもかかわらず特定の商品のみ割引と表示する
・ほかの商品と比較して、特定の商品のみが明らかに目立っている
6. 妨害(Obstruction)
ダークパターンの妨害は、会員登録は簡単な割に解約や退会に手間がかかる手法です。サービスの利用契約はネットのみでできるのに対し、解約は電話でしかできないケースはダークパターンの妨害に該当します。
ダークパターンの妨害には下記のような事例があります。
・アカウントを削除するために膨大なアンケートに回答させる
・ネット上で登録できるサービスなのに、解約は電話でのみしか受け付けない
・商品の比較ができないように詳細が隠されている
7. 行為の強制(Forced Action)
ユーザーが特定の機能を利用する際に会員登録が必要だったり、利用規約に同意させたりと不必要な行動をさせるのもダークパターンの手法です。商品を閲覧したいだけなのに会員登録が必要なECサイトは、ダークパターンの典型例といえます。
また、メルマガやプロモーション協力に合意しないと、サービスが利用できないのも行為の強制の一種です。
行為の強制には下記のような事例があります。
・不必要な個人情報を入力させる
・必須であると偽って会員登録させる
・関係のないメルマガの購読を強制させる
ダークパターンの被害状況
ダークパターンの被害に遭わないためには、どんな手法があるのか知ることが重要です。
最後にダークパターンの被害状況について解説します。
ダークパターンの被害は46.1%
OECD(経済協力開発機構)が行った「ダークパターンレポート2023」は、ECサイトやアプリで購入経験がある18〜69歳を対象に調査が行われました。調査結果を確認すると、いずれかの「ダークパターンにひっかかったことがある」と認知しているユーザーは46.1%と回答しています。
しかし、ダークパターンの存在を知らないユーザーも半数以上いるため、実際はさらに被害に遭っている可能性が高いとされています。
場合によっては法令違反に抵触するリスクがある
今のところ、日本ではダークパターンに対しての法整備は整っていませんが、特定の分野に該当すると以下の法令違反に抵触するリスクがあります。
|
特定商取引法 |
通信販売の詐欺的な定期購入商法対策により、「初回無料」と記載しつつ定期購入が条件だった場合、商取引法違反となる。 |
|
景品表示法 |
2023年10月よりステルスマーケティングの禁止により、商品やサービスの宣伝をする際は広告表示が必須となった。 |
日本国内のサイトでは約6割がなんらかのダークパターンが確認されているため、被害に遭わないためにはユーザー自身の自衛が必要です。
ステマ(ステルスマーケティング)とはどんな意味?何が悪い?事例や問題点を解説
ダークパターンを知ることが対策に
ダークパターンはいまだ法整備が整っていないため、だまされないためには自衛することが重要です。どんな種類、手法があるか普段から理解しておけば、ECサイトを利用したいときにこれはダークパターンかもしれないと気づけるでしょう。
また、ダークパターンの緊急性はフィッシング詐欺でも多く悪用されている手法です。ダークパターン対策はセキュリティ強化にもなるため、セキュリティソフトなどを活用するとより安全にインターネットが利用できます。
常時安全セキュリティ24はAV-TESTの「Best Protection Award」を10年で7度受賞している、世界に認められたアンチウイルス製品で、1契約でパソコンやスマホなど計7台まで利用できます。フィッシングサイトへのアクセスを未然に防いだり、不正に個人情報を盗もうとするプログラムをブロックしたり、悪意ある操作からデバイスを守ってくれます。
まだセキュリティソフトを利用していない方は、ぜひ常時安全セキュリティ24を利用されてみてはいかがでしょうか。
※2024年6月時点の情報です