
キャッシュレス決済はクレジットカード払いより安心って本当?
2019/10/18国も大々的に推進するキャッシュレス決済。ひとくちにキャッシュレス決済といっても、現金を使わない支払い方法としては、クレジットカードはもちろん、電子マネーや近年存在感を増しつつあるQRコード決済など、さまざまあります。ただユーザー目線で考えたときに気になるのが“安全面”。クレジットカードや電子マネー、QRコード決済では、安全面で何か違いはあるのでしょうか?
◆クレジットカードでなく電子マネーを使う意味
消費増税とセットの形で、普及が進むキャッシュレス決済。お得なポイント還元もあるため、新たにキャッシュレス決済を使い始めた方も多いかもしれません。
でも、「クレジットカード払いと何が違うの?」と尋ねられて、きちんと説明できる方は意外に少ないのでは?ここではクレジットカードを基本に、ほかのキャッシュレス決済と比較してみましょう。
“電子マネー普及元年”と言われる2007年頃からユーザー数を伸ばし始めた電子マネーには、「Suica」「PASMO」といった交通系ICカード、チャージの手間が不要な「iD」や「QUICPay」などがあり、皆さんも何かしら利用されているはず。
ただ電子マネーに対応した店の多くは、クレジットカードも利用可能。わざわざ電子マネーを使わなくても、クレジットカードで十分なのでは?・・・・・・という疑問を感じたことはありませんか?
実はそこに、電子マネー最大の利点があるのです。
ちょっと見方を変え、「クレジットカード利用時、最大のネックは何?」と考えてみましょう。そう、クレジットカード番号です。
少し前にも、支払い時にクレジットカードを預かった従業員がこっそりスキミングを行い、カードを不正利用した事件が話題となりました。
◆カード番号が介在しない電子マネーの強み
昔から映画などで、従業員にクレジットカードを渡し、席に座ったまま決済が完了する光景を目にされた方は多いでしょう。
でも、最近の映画では、そうしたシーンがほとんど描かれなくなったことにお気づきですか?
ヨーロッパではすでに、「クレジットカードを渡してはいけない」と定められた国が増えています。北米も同様で、多くの店がカードを預からなくなりました。欧米では、“利用者の目の前で”カード決済を行うことが当たり前。いまだにクレジットカードを従業員に預ける先進国は、日本ぐらいかもしれません。
では、クレジットカード番号のスキミング不正利用を回避する、最善の策は・・・・・・。答えは簡単です。カード自体を使わないこと。
そこで浮上する手段が、電子マネーなわけです。支払い現場にカード番号が介在しない電子マネーは、物理的にスキミングから利用者を守ってくれます。利用者が増えている「Google Pay」や「Apple Pay」も同様です。
・Google Pay:クレジット情報をクラウド上で管理
・Apple Pay:クレジット情報をスマホなど端末で管理
という違いこそあれ、暗号化して保存されたクレジット情報は、そう簡単には漏洩しません。何かと話題なQRコード決済も、同様に安全な決済方法と言えるでしょう。
ただ、システムが簡易的な分、7Pay問題のようにリスクヘッジが事業者任せという不安は残ります。導入が手軽なだけに、店舗サイドの危機管理も問題に。
QRコード決済には、
・ユーザースキャン方式:店側が掲示するQRコードをユーザー決済アプリで読み取り支払い
・ストアスキャン方式:ユーザー自身の支払い情報が埋め込まれたQRコードをスマホなどで表示し店が読み込み支払い
という2通りの決済手順がありますが、仮にユーザースキャン方式の店で、掲示されているQRコードを貼り替える(上から別のコードを貼る)といった犯罪行為が行われる可能性もゼロではありません。
◆セキュリティ面で気をつけることは?
ここまで見てきて分かるとおり、セキュリティの観点から考えると、いずれのキャッシュレス決済の方法にも一長一短があります。では、カード情報を抜き取るスキミングを防ぐには、どうしたらいいのでしょうか。
・クレジットカード(接触型カード)の場合
カード情報を取り出すには、それを読み取る「スキマー」という機器にカードを接触させます。そのため、この装置を悪用されると情報を盗まれてしまいます。先ほども少し触れましたが、クレジットカードを人に手渡すのを控えるほか、会計時にどうしても店員に渡す状況ではカードから目を離さないようにしましょう。
・プリペイドカード・電子マネー(非接触型カード)の場合
カードに情報を送受信するICチップ機能が搭載され、読み取り機器に接触させずに決済が行えて便利な反面、機器に近付けただけで情報を読み取られてしまう可能性も。スキミング防止カードの利用や、普段から必要に応じた金額をチャージするようになどの対策が有効です。
・QRコードの場合
QRコード決済は、決済に必要な情報をQRコードで自分のスマホ画面に表示させるため、店員に渡す必要がなく、必要以上に情報を盗まれるリスクは低めです。また、QRコードも一定時間を過ぎると無効となるため、不正利用を防げます。ただし、先ほど説明した偽QRコードを使用されたり、後ろにいる人から読み取られて不正利用されたりする可能性はゼロではありません。QRコード決済用に登録したクレジットカードが不正利用されたという事例があるのも、記憶に新しいところです。
現金以外の手段で決済をする場合、残念ながらリスクが完全になくなることはないかもしれません。それでもキャッシュレス決済が便利なのもたしかなこと。しかも、消費増税対策としてお得に使えるなら、乗り遅れるのはもったいないですね。
各決済方法にデメリットや脆弱性は少なからずあると考え、きちんとした対策を行うことで便利に使うというのがベターでしょう。各決済サービスの規約を確認し、万が一被害に遭ったときの補償制度なども事前に確認しておくのを忘れずに!
※記事内容は2019年9月現在の情報を基に作成。