
IPv6とは|接続確認から申込まで初心者にもわかりやすく解説
2022/01/25仕事でパソコンを利用することはもちろんのこと、スマホの普及やゲーム機などにもインターネットに接続する時代になりました。その中で「IPv6」という新しい通信規格が登場しました。
・IPv6のメリット、デメリットは?
・IPv6の利用方法と接続確認する方法は?
・IPv6を利用して問題が起きた時の対処法は?
本記事ではIPv6に関するこれらの4つの疑問についてわかりやすく解説していきます。IPv6という言葉はよく聞くけど内容がいまいちよくわからないという方は参考にしてみてください。
IPv6を利用して安定したインターネットを利用したい人はこちら
IPv6とは
IPv6とは、Internet Protocol Version 6(インターネット プロトコル バージョン6)の略となり、読み方は「アイピーブイシックス」ですが、「アイピーブイロク」の方が浸透しています。「プロトコル」はインターネットで情報を通信するためのルールのことです。
インターネット通信をする際に「IPアドレス」という識別番号がスマホやパソコンなどの機器に割り当てられます。このIPアドレスはインターネット上の住所の役割をしています。
IPアドレス:111.255.1.xxx
普通にインターネットを利用しているだけでは見る機会がありませんが、IPアドレスはこのような数字の羅列でできています。(xにも数字が当てられます)
数字に限りがあるため、以前までの「IPv4」という通信規格だけではIPアドレスがいずれ不足してしまいます。そこで誕生したのがIPv6です。携帯電話の番号が090に加えて080や070を利用するようになったことと同じと考えるとイメージしやすくなります。
ほぼ無限のIPアドレスを割り当てることができる
IPv4ではIPアドレスが約43億個ありましたが、IPv6では約340澗(かん)個にもなります。(※1澗=1兆×1兆×1兆)日常生活で出てくることのないような桁のIPアドレスが利用できるようになるため、IPアドレスが枯渇するという心配がなくなります。
世界人口は2019年で77億人です。全員がインターネットを利用するわけではないものの、今はひとりで複数の機器を利用する時代です。そう考えるとIPv4では不足してしまうものがIPv6であれば余裕を持つことができます。
IPv6の接続方式(IPoE方式)
このIPv6とIPv4ではIPアドレスの数以外に接続方式でも違いがあります。
Point-to-Point Protocol over Ethernetの略。イーサネットを使ってPPPというプロトコルを伝送する通信方式。
IP over Ethernetの略。イーサネットを使ってIPパケットを伝送するインターネットの通信方式。
こう並べると難しく感じてしまいますが、インターネットを利用するための道路が違うとイメージするとわかりやすくなります。
従来のPPPoE方式は一車線で、IPoE方式だと三車線の道路でデータを移動させることができます。つまりIPoE方式だとデータの混雑が起きにくいため、インターネット接続が安定しやすくなります。
このIPv6を利用するメリットは後ほどご紹介します。
IPv4とIPv6の違いとPPPoEとIPoEの違い|光回線の速度改善が期待できる接続方式
IPv6でもIPv4サービスも利用できる「IPv4 over IPv6」
IPv6で通信するには閲覧するWebサイトもIPv6に対応している必要があります。つまりIPv6の接続方式を利用しているとIPv4のサイトを閲覧することができません。
そこで「IPv4 over IPv6」という通信技術の登場です。裏側でIPv4サイトのデータをIPv6の接続方式に載せられるようにカプセル化をすることで、IPv4サイトもIPv6で利用できるようにしています。
この「IPv4 over IPv6」を利用することで、通信が混雑しがちなIPv4サイトもIPv6の安定した接続方式で閲覧することができるようになります。
IPv6を利用するメリットとデメリット
ここからはIPv6を利用するメリットとデメリットをそれぞれ紹介していきます。
基本的にはメリットが多く、デメリットは提供プロバイダーの方で対応しているケースがほとんどなので安心して利用できるものとなっています。
IPv6を利用するメリット
インターネット回線が安定して速度の改善が期待できる
光回線では最大1Gbpsの回線速度と表記されることが一般的です。基本的にIPv6とIPv4では理論値とされるこの回線速度には変化はありません。ですがIPv6を利用することで回線速度の改善が期待できます。
IPv6の接続方式でも説明しましたが、IPv4では限られたIPアドレスを利用し混雑した接続方式で通信をします。一方で、IPv6では豊富なIPアドレスを利用し容量が大きい接続方式で通信をします。
IPv4は一車線の道路でデータ通信をしているのに対して、IPv6では三車線の道路でデータ通信をしているようなイメージです。データが走る速度は同じでも三車線で空いている道路を走る方が目的地に速く到着するのは当然ですよね。
つまりIPv6を利用すれば回線の混雑が起きにくくなり、回線が安定して速度改善が期待できるようになります。
インターネット接続設定が簡単になる
IPv6では自動的にIPアドレスとインターネットの接続経路が設定されるため接続設定が簡単になるというメリットがあります。つまりルーターにIDやパスワードを設定せずにインターネットを利用することができます。
インターネットに接続するためには「DHCP」を利用するため、ルーターにIDやパスワードの設定が必要となりますが、IPv6を利用すればこの設定が不要となるので接続設定が簡単になるのです。
インターネット接続をするには、接続するそれぞれの機器にIPアドレスを割り振る必要があり、IPアドレスが重複すると正常にインターネット接続ができなくなります。
そこでIPアドレスが重複しないようにDHCPという技術でIPアドレスを割り振っています。
セキュリティが強い
IPv6では「IPsec」という安全にデータを送受信するための仕組みが取り入れられています。通信を暗号化することでIPv4での接続より安全にインターネットを利用できるという仕組みです。
ただ近年では通信を暗号化するSSL/TLSという仕組みをサイト側で取り入れているものが増えてきているため、一概にIPv4の利用が危険というわけではありません。それでも通信が暗号化されていないサイトも未だにあることは確かなので、IPsecが取り入れられていることで安心してインターネットを利用することができます。
とはいえ、通信の暗号化以外にもインターネットの利用には様々なリスクがあります。様々なリスクにはセキュリティソフトを活用して対応をしましょう。
スマホやパソコンを守るセキュリティソフト「常時安全セキュリティ24」おすすめの理由
IPv6を利用するデメリット
IPv4と互換性がない
IPv6の説明で、
とお伝えしました。
この「IPv4 over IPv6」を利用するには「v6プラス」や「IPv4 over IPv6機能」に対応しているプロバイダーを選ぶ必要があります。
「v6プラス」や「IPv4 over IPv6機能」のサービスを提供しているプロバイダーを選べば基本的には問題ありません。
v6プラスや「IPv4 over IPv6機能」についてはこちらの記事でも解説しているので参考にしてください。
IPv6とv6プラスの違いとは?高速通信ができる理由も具体的に解説
ひかりTVなどを利用するためにIPv6パススルー(ブリッジ)を利用している場合にはIPv4サイトを閲覧することができないので注意が必要です。
IPv6パススルーはIPv6のデータをそのまま通過させる機能なので、カプセル化したIPv4サイトを元に戻すことができなくなるためです。
IPv6パススルー(ブリッジ)とは? どういうときに使うもの?
IPv6を利用するには申し込みが必要
IPv6を利用するには申し込みが必要となります。
IPv6を申し込むまでに必要な確認と合わせて申し込み方法をご紹介していきます。
IPv6の利用状況を確認する方法
まずは今使っている回線でIPv6接続ができているか確認してみましょう。IPv6接続テストを利用すれば、アクセスするだけでIPv6の利用状況を確認することができます。
≫IPv6接続テストにアクセスする
こちらを確認してみた結果IPv6接続ができていないという結果が出たらIPv6接続の利用申し込みが必要です。またIPv6接続テストを利用した確認がためらわれる場合にはパソコンの設定画面でチェックすることもできます。
OSごとに以下の手順を踏めば、手動でIPv6の接続確認を行うことができます。
・PC画面の左下にあるWindowsマークをクリック→「設定」をクリック
・「ネットワークとインターネット」をクリック
・「アダプターのオプションを変更する」をクリック
・有効になっている接続の上で右クリック→「状態」をクリック
⇒IPv6接続に「インターネット」と表示されればIPv6接続済み
⇒IPv6接続に「ネットワークアクセスなし」と表示されるとIPv6接続されていない
・アップルメニュー→「システム環境設定」をクリック
・「ネットワーク」をクリック
・「ネットワーク環境」→「自動」をクリック
・有効になっている接続をクリック
⇒IPv6アドレスが表示されたらIPv6接続済み
⇒IPv6アドレスが表示されないとIPv6接続されていない
上記のいずれかの方法でIPv6の接続確認をしてみてください。IPv6で契約しているのにIPv6が利用できていない場合はルーターなどに問題がある可能性もあります。原因がわからない場合には契約しているプロバイダーに問い合わせをしてみましょう。
IPv6の利用状況を確認する2つの方法|スマホやタブレットでもチェックしよう
IPv6接続をするには対応ルーターが必要
IPv6接続をするにはIPv6に対応したルーターを利用する必要があります。一方、フレッツ光ネクスト利用者で、IPv6に対応するホームゲートウェイを利用している場合は別途ルーターを準備する必要はありません。
環境によってはIPv6対応ルーターの準備が不要な場合もあるため、申し込みの際にプロバイダーに確認するようにしましょう。IPv6を申し込んだだけでルーターについては知らなかったということにならないようにだけ注意しておきましょう。
IPv6対応ルーターの選び方
IPv6の申し込み方法
@nifty光でIPv6接続するには「@nifty v6サービス」があり、無料で申し込みすることができます。ニフティでIPv6を申し込みする場合は「@nifty v6サービス」のページから申し込みができます。
詳しい申し込み方法と初期設定についてはこちらの記事で解説していますので参考にしてみてください。
【初心者向け】無料でIPv6を申し込む方法と初期設定を解説
IPv6接続でも回線が遅いときの対処法
最後にIPv6を申し込んだものの回線が遅く感じるという場合に確認しておくべきものをご紹介しておきます。
回線速度の測定方法はこちらの記事で解説しているので試してみてください。
快適なインターネット回線速度の目安と計測方法|スピードテストの見方を解説
インターネット環境の開通直後はPPPoE方式の場合がある
IPv6で回線速度が改善されるのはあくまでIPoE方式での接続をしているケースです。IPoE方式に切り替わるまでの期間は、PPPoE方式での接続になっているということがあります。
PPPoE方式だとIPv6を利用していても混雑しやすい接続方式のため、回線速度の改善は見られません。開通直後でまだIPoE方式に切り替われていない場合は切り替わるまで待つ必要があります。
しばらく経っても切り替わらない場合にはプロバイダーに問い合わせをしてみましょう。
ルーターがIPv6対応か確認する
前述しましたがIPv6を利用するにはルーターがIPv6に対応している必要があります。
契約がIPv6になっているもののIPv6接続できていない場合にはルーターがIPv6対応かどうかを確認しましょう。
IPv6以外に問題がある場合も
IPv6接続やIPoE方式での接続に問題がない場合は他に問題があることがあります。無線LANを飛ばしているルーターの場合やLANケーブルに原因がある場合と様々です。
回線速度が気になる場合にチェックしておくべきものはこちらの記事を参考にしてみてください。
インターネット回線速度が遅くなる原因と12の改善方法
IPv6で光回線の速度を最大限に活用しよう
IPv6を利用することで回線の混雑を解消して回線速度の改善ができるようになりました。最大1Gbpsの通信速度を利用することができる光回線を最大限に活用するにはIPv6の利用は欠かせません。
インターネットの利用は年々増え続けていて、いずれはIPv4ではIPアドレスが足りなくなります。そうなればIPv6が主流になることは目に見えています。今のうちからIPv6を利用しておくことで、ストレスなくインターネットを利用してみてはいかがでしょうか。
※2022年1月時点の情報です。
※本文中に記載されている通信速度は理論値です。必ずしもこの速度が保証されているものではなく、お客様の通信環境や接続の時間帯などによっては、思うように速度が出ない場合や接続が不安定な場合があります。